サイエンス

週に何分以上を自然の中で過ごせば健康さや幸福度が増すのか、その最低ラインが研究で判明

by amir sahihi

自然の中で時間を過ごすことに健康上のメリットがあることは、過去の研究が示すところであり、薬の代わりにガーデニングなどを「処方」する「緑の処方箋」が存在するほど。しかし、多くの現代人は、使える時間に限りがあります。そこでイギリスの研究者が2014年から2016年にかけてイギリスで暮らす2万人を対象とした調査を行い、自然と触れ合うことで効果が得られるようになる「スイートスポット」がどこかを特定しました。

Spending at least 120 minutes a week in nature is associated with good health and wellbeing | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-019-44097-3

Spending two hours a week in nature is linked to better health and well-being
https://theconversation.com/spending-two-hours-a-week-in-nature-is-linked-to-better-health-and-well-being-118653

For Just 2 Hours a Week, There's a Simple Practice That Could Make You Healthier
https://www.sciencealert.com/a-simple-lifestyle-change-requires-just-2-hours-a-week-but-it-could-make-you-happier-and-healthier


これまでにも、テントで眠ると不眠症を治療できることが調査で示されていたほか、緑地で過ごすことが脳卒中の生存率を上げ自殺率を下げ、糖尿病のリスクを下げるといったさまざまな効果が報告されています。しかし、効果を得るには一体どれほどの時間を自然の中ですごせばいいのか、過去の研究では明確に示されていませんでした。

そこで研究者は、イギリス政府が行っている「自然環境調査」の被験者の家に赴き質問するという形で調査を行いました。インタビュアーは「過去7日間、それぞれの日で、都会の公園や森林、ビーチなどで過ごした時間はどれくらいか」ということを被験者に尋ねたとのこと。その後、被験者全体からランダムな被験者を選び出し、より詳細に「自然の中で何時間過ごしたか」「誰と行ったか」「どうやって目的地まで向かったのか」「目的は何だったのか」などを尋ねました。この詳細なインタビューによって、記憶に残る「ハイライト」だけでなく、より全体的な情報を知ることができたそうです。また、被験者に対しては「生活満足度」についての質問も行われました。

調査の結果、少なくとも週に2時間を自然の中で過ごしている人は、自然の中で過ごす時間がゼロの人に比べて、「健康状態がよい」「ウェルビーイングのレベルが高い」とインタビュアーに伝える傾向があることがわかりました。一方で、自然の中で過ごす時間があっても2時間以下の人は、全く自然の中で過ごさない人と、健康やウェルビーイングの感覚が同程度だったとのこと。

また2時間以上を自然の中で過ごすことで幸福やウェルビーイングの感覚は増しますが、3時間以上になると増加割合が緩やかになり、5時間以上自然の中で過ごしてもそれ以上大きなメリットが得られるわけではないことも示されています。

by Hector Argüello Canals

このことから、「1週間のうち120分を自然の中で過ごす」ということがしきい値になると研究者は結論づけています。120分以下だと著しい利益を得るためには不十分ですが、「それ以上だと長期の病気を患っている人でも健康状態の向上やウェルビーイングを報告する傾向にある」と研究者は述べました。

調査結果から、「短い散歩を数度行うこと」と「長い時間をかけてピクニックすること」といった目的による効果の違いは示されていません。どのような形であれ、週120分を自然の中で過ごすことが重要であるわけです。またこの傾向は年齢・性別・裕福さ・病気や障害の有無・住んでいる場所といった条件の違いに関わらず、一貫してみられました。

by Marissa Price

一方で研究者は、今回の調査が被験者の主観的な報告によるものであることや、ある一時点において測定を行う横断研究であることを注意点として述べています。研究者は調査において最善を尽くしているものの、被験者が記憶間違いをしている可能性や、インタビューに緊張して健康状態やウェルビーイングについて素直に答えられなかった可能性も残っています。

加えて、研究者はこの結果が「自然の中で費やされた時間」ではなく「体を動かしていること」と関係している可能性も考えられる、と認めていますが、イギリスが定める身体活動のガイドラインを満たしてなくとも上記の傾向があてはまるとも示されています。この現象の本質を知るためにはさらなる研究が必要であると考えられており、研究者は長期にわたる研究を今後行っていきたいと述べています。

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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