サイエンス

新型コロナ「オミクロン株」について「やってはならない5つのこと&やるべき10の対策」を専門家が解説


世界を席巻したデルタ変異株に見られる変異を含む30以上もの変異を併せ持つという新たな新型コロナウイルス変異株「B.1.1.529」が南アフリカで発見されました。この「オミクロン株」と呼ばれる新たな変異株について、南アフリカ国立伝染病研究所の前所長であり世界保健機関(WHO)の予防接種に関する戦略諮問委員会(SAGE)に所属しているシャビール・マディ教授が「やってはならない5つのこと」と「やるべき10の対策」について解説しています。

Omicron is the new COVID kid on the block: five steps to avoid, ten to take immediately
https://theconversation.com/omicron-is-the-new-covid-kid-on-the-block-five-steps-to-avoid-ten-to-take-immediately-172739

2021年11月25日、学術雑誌大手のNatureが「デルタ変異株にもみられた変異を含む多数の変異を有する新たな変異株が南アフリカで急速に拡大している」と報じました。この変異株はギリシャ文字を使うという命名規則に従って「ニュー変異株」と呼ばれる見通しでしたが、WHOは「ニュー」はNewと似ている、「クサイ」は中国人の姓として使われる「Xi」に似ているという理由からこの2文字を飛ばし、「オミクロン」と命名しました。

30以上もの変異を併せ持つ新型コロナの「新しい変異株」が発見される、「ニュー変異株」と呼ばれる見通し - GIGAZINE


WHOはB.1.1.529をオミクロンと命名すると同時に、警戒度を最も高い分類の「懸念される変異株(VOC)」として認定。このオミクロン株はすでに南アフリカから世界中に広まっている可能性があるとされており、南アフリカと周辺国を対象とした渡航制限を行う国も出始めているほか、各国の保健当局は国内でのオミクロン株の感染状況について調べています。

現地時間11月28日に行われたWHOの発表によると、オミクロン株の感染力や発症した際の重症度については調査中であるものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染経験者であってもオミクロン株に再感染する可能性が高いことが示唆されているとのこと。

新たな世界的脅威になりつつあるオミクロン株について、「やってはならない5つのこと」と「やるべき10の対策」を発見国の南アフリカで国立伝染病研究所の前所長を務めていたというマディ教授が解説しています。

・やってはならないことその1:無差別に規制を強化すること
マディ教授によると、屋内での集会の禁止以外の規制を無差別に強化すべきではないとのこと。南アフリカにおける新型コロナウイルスの感染は都合3波ありましたが、血液検査の結果から結局60~80%の人が感染したことが判明しており、経済にダメージを与えるような強力な感染対策もさほど効果がなかったことが示されたそうです。このことから、「順守率が低い規制を課しても意味がない」とマディ教授は提言しています。

・やってはならないことその2:渡航制限を課すこと
過去のデータから示されているように、オミクロン株は渡航制限の有無にかかわらず世界中に拡散すると予想される上に、実際に渡航制限を課す頃にはオミクロン株が国内で流行している可能性が高いとのこと。マディ教授は渡航制限を課すよりは出入国審査を厳格化して潜在的な感染者を特定するほうが有益だと主張し、「一握りの国に渡航制限をかければオミクロン株の侵入を阻止できるという考えは甘いといえます」とコメントしています。

・やってはならないことその3:実行不可能な規制や強制力のない規制を課すこと
マディ教授は「現実的には実行不可能な規制策や強制力のない規制を発表し、その規制を国民がさも順守しているように装うのはやめるべき」と呼びかけています。

・やってはならないことその4:COVID-19に対するリスクの高い人々のブースター接種を遅らせること
WHOは65歳以上の高齢者や免疫不全などのCOVID-19に対するリスクの高い人々に「ブースター接種」と呼ばれる追加のワクチン接種を奨励しています。マディ教授は、「政府はWHOの奨励を受け入れ、ブースター接種をなるべく早く行うよう主導すべき」という見解を示しています。

・やってはならないことその5:集団免疫に固執すること
マディ教授は「私たちが生きている間に集団免疫は実現しません」と述べました。


・すべきことその1:医療機関がスタッフ・個人用保護具・人工呼吸器などを書類上だけでなく実際に備えていることを確認すること
マディ教授によると、南アフリカには配属先の決定を待っている医師やインターン生が2000人もおり、医療機関側の受け入れ準備が整っていないことが明らかになっているそうです。

・すべきことその2:ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製ワクチンを接種した人にブースター接種を行う
デルタ株に対するJ&J製ワクチンの有効性は62%ですが、モデルナ製ワクチンやファイザー製ワクチンなどのmRNAワクチンの有効性は80~90%あることが示されています。J&J製ワクチンは単回投与で済むという点が特徴ですが、2回目の接種を行うことで入院を防ぐ効果が強化されると研究で確認されているため、マディ教授はJ&J製ワクチン接種者にブースター接種を行うべきだと主張しました。

・すべきことその3:ワクチンパスポートの導入
マディ教授は「ワクチン接種は選択の余地があるかもしれませんが、選択には結果が伴います」と語り、公共交通機関などの人の集まる屋内空間に対して、ワクチンパスポートを導入すべきだと提言しました。マディ教授によると、ワクチン接種は自分自身の感染を防ぐ効果以上に、他人に感染を移すことを防ぐ効果に優れるそうです。

・すべきことその4:ワクチン未接種者に手を差し伸べる
ワクチン接種率を上げるべきという考えから、マディ教授は「人が集まりそうな場所にワクチン接種施設を設けたり、未接種者にターゲットを絞った支援プログラムを実施すべき」と語りました。

・すべきことその5:ブースター接種を高齢者などの新型コロナウイルスに対してハイリスクな人から行うこと
ワクチン接種の第1目標は「重症者と死亡者を減らす」ことにあるため、誰を優先すべきかという的を絞った戦略が必要とのことです。


・すべきことその6:責任ある行動を奨励すること
マディ教授は「少数の無責任な人々のために、すべての人を罰するようなアルコール制限などの規制を課すべきではない」と語りました。

・すべきことその7:地域レベルで受入病床数を監視すること
入院数は市中における感染者数から2~3週間遅れて連動するため、感染率と入院率を監視することで特定地域において「どの医療施設」が崩壊直前なのかを事前に察知できるとのことです。

・すべきことその8:ウイルスと共存することを学ぶこと
パンデミックに対して大なたをふるうと、感染拡大による直接的な打撃よりも大きな打撃が経済・社会・教育・精神衛生に対して及ぶため、ウイルスと共存することを学んで、パンデミックが生活に与える直接的・間接的な影響を見極めるべきだとマディ教授は語りました。

そして、以下の2つはマディ教授いわく「説明不要」とのこと。

・すべきことその9:科学に従い、政治都合で科学をゆがめないこと
・すべきことその10:過去の失敗から学び、次のステップでは大胆な対策をとること

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in サイエンス, Posted by log1k_iy

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