オープンソースのメンテナーとしてフルタイムで働いてGoogle社員レベルの給与を得る方法とは

Googleでの職を離れ、オープンソースソフトウェアのメンテナーとして生活を続けるフィリップ・ヴァルソーダ氏が、いかにして自立できたのか、どのように収入を得ているのかについて解説しました。
I’m Now a Full-Time Professional Open Source Maintainer
https://words.filippo.io/full-time-maintainer/
ヴァルソーダ氏はCloudflareやGoogleで暗号化とセキュリティ関連の仕事に就いていましたが、2022年5月に独立し、オープンソースソフトウェアのメンテナンスを行う生活に切り替えたとのこと。同年9月頃から Go cryptographyやage、yubikey-agentといったさまざまなオープンソースのプロジェクトに携わるようになり、2023年2月時点で6社と提携して仕事をしているそうです。ヴァルソーダ氏は自分の時間のほとんどをメンテナンスに費やし、築き上げてきた専門知識を生かしてプロジェクトに携わっており、Googleに在籍していた頃と同等の報酬を得られるまでに成長したとのこと。
ヴァルソーダ氏は他人をサポートする時間や難しいプロジェクトの成果物を売っているのではなく、自身がプロジェクトに携わることで以下の三つの価値を提供しているといいます。
1:特定の顧客が依存しているプロジェクトがメンテナンスされなくなり、セキュリティや開発速度に影響を与えるというビジネスリスクを軽減することができる。
2:相互アクセスのチャネルを確立し、顧客とプロジェクトの両方により良い結果をもたらすことが保証される。
3:最高レベルの契約では、オープンソース・プロジェクトの厳密な範囲を超えて、ヴァルソーダ氏が専門とするあらゆるトピックについて企業がアドバイスを受けることができる。
上記3種類の価値をヴァルソーダ氏が提供することで、企業にとって得になるのだとヴァルソーダ氏はアピール。また、上記の3つ目に「最高レベルの契約」とあることからも分かるように、ヴァルソーダ氏は自身の契約レベルをいくつかの段階に分けているそうです。
ヴァルソーダ氏は時間単位の契約や特定の機能を成果物とする成果報酬型ではなく、継続的な雇用契約のみを結んでいます。契約はシルバー、ゴールド、プラチナの3つのランクがあり、ゴールドには初回および四半期ごとの対面でのミーティングが含まれ、プラチナには上述の通りオープンソースプロジェクトの範囲を超えるアドバイザーサービスが含まれます。

どの会社にも最初に企画書を送り、数週間にわたって担当者や意思決定者に売り込み、取引を成立させ、毎月請求書を送って支払ってもらうような形をとっているとのこと。各ランクの契約報酬額はそれぞれ年間数百万円ほどで、正社員よりもはるかに安いものの、合計すると他のソフトウェアエンジニアと並ぶレベルには稼げるそうです。
ヴァルソーダ氏は「インターネット、ひいては経済全体に影響がある仕事にもかかわらず、事実上すべてのオープンソースのメンテナーはボランティアか、大企業の正社員です。基本的にメンテナーにお金が払われることはなく、少数のプロジェクトはサポート契約を販売したり、機能ごとにスポンサーシップを得たりして資金調達をしています。しかし、これらは明らかに持続可能ではありません」と指摘。その理由として、ボランティアを行う人々が自身の生活環境の変化に影響を受けやすく、フルタイムの企業雇用が時間の経過とともにスケールアップしないことを挙げています。
ヴァルソーダ氏は「私がやっていることはこれとは異なり、より持続可能なものです。ある種実験的なこの労働形態は他の人にも再現可能なものであるはずだと期待しており、長期的にはプロフェッショナルな道として知られるようになればと思っています」と述べました。
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in Posted by log1p_kr
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